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症例(2) 首をそらすと右半身にしびれが走るという頚椎ヘルニアの例
67歳 男性

腰痛で来院。診察中にしびれの有無を聞くと、「1年くらい前からうがいをする時など首をそらすと右胸のあたりにしびれが来る」とのこと。
良く聞くと、しびれはビリっと電気が走るようなタイプで右手、右足にも来る事があるとの事だが、痛みがないので本人は気にしていない様子だった。
診察の結果、頚髄(首の部分の脊髄という大切な中枢神経)が腫瘍、ヘルニア、首の骨の変形などで圧迫され、障害が出て来つつある状態が疑われたため、頚椎の専門医を紹介した。

MRIの結果、頚椎5番と6番の間のかなり大きなヘルニアが発見され、頚髄が圧迫されていることが判明した。
麻痺はまだ軽度なので、現在手術は行わず専門医による経過観察中。
麻痺が進行してくるようなら脊髄の圧迫を取るため、首の手術の必要が生じる症例です。


頚椎症状
「首をそらすと右半身にしびれが走る」

首を動かして手や足などにしびれが来るものは、頚椎に何らかの問題があることが多いと思って良いでしょう。
頚椎の障害でも、脊髄という大元の神経が障害されている場合と、脊髄から枝分かれした末梢神経が障害されている場合とでは、重症度に大きな違いがあります。
末梢神経の障害でしたら、せいぜい手が障害されるだけですが、脊髄の障害となると、進行すると半身の麻痺や、悪い場合は首から下の全身の麻痺を来すケースもあります。

 

右上肢、下肢の不全麻痺
「右手、右足(右半身)の筋力低下が見られる」(バレー徴候軽度+)

バレー徴候とは、手や足に麻痺があるかどうかを見るテストです。
※片方の手だけ下がる
(両腕を前に出し手の平を上に向けて
目を閉じる)
※片方の足だけ下がる
(うつぶせで踵を上げて止める)
このテストで右肘だけが曲がってくる所見と、右踵だけ下がってくる所見が見られました。
右上肢と右下肢、つまり右半身の軽度の麻痺があると考えられます。
その原因としては、脳、脊髄どちらかの中枢神経障害が疑われます。

 

ブラウンセカール症候群類似症状
「神経学的検査で温痛覚解離などの異常がみられた」

振動覚…音叉を骨のでっぱった所にあて、振動をちゃんと感じることができるかどうかを調べます。

温痛覚…温かい、冷たいという感覚と、痛いという感覚を感じる神経が鈍くなっていないかを調べます。

障害されている側(この場合は右側)の振動覚が低下し、良い方の温痛覚が低下するのがブラウンセカール症候群(脊髄半側障害)の典型的な症状です。
ブラウンセカール症候群の原因には、脊髄髄外腫瘍や、ヘルニア、脊椎の変形などがあります。

※神経学的検査では、腱反射、病的反射、触覚、振動覚、温痛覚、筋力などの検査、その他のテスト法を行います。

今回のケースでは、頚椎5番と6番の間の大きなヘルニアにより脊髄の右半分が圧迫されたために症状をきたしたと思われます。

■私が感じた教訓
ヘルニアは、通常痛みを伴うと考えられがちですが、痛みが軽度なヘルニアもかなりあります。脊髄を圧迫していけなければそう心配することもありませんが、脊髄が圧迫されている症状が見られた時には、細心の注意が必要です。
進行する場合は、手術で圧迫を取り除かなければ、麻痺が進み、元に戻らなくなるからです。
腰痛で来院された患者様に、それより重大な頚椎の障害が見つかった訳ですが、問診時に主訴のみでなく、患者様の話すいろいろな話を集中して聞く必要があることを痛感しました。

症例(1) 転倒し肋骨骨折したと同時に心不全を合併していた例

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